« 前 | メイン | 次 »

■2006年04月05日 ファイナルファンタジー12まとめ(何故かワイアード風、そしてネタバレ)
「ロールプレイングゲーム」は、昔から在る、一つの変わらぬゲームのジャンルであるように見えて、その実、プレイヤーの求めるものとメーカーの作るものは変わり続けている。メーカーが聞こえたプレイヤーの声のひとつは、「決まった一本道のストーリーは飽きた」であり、それに答えたのが「ロマンシングサガ」であったと思う。しかし次第に、その自由度にもプレイヤーは飽きてきて、安心して楽しめる、一本道のストーリーを再び望むようになった。そうして、何度かの変革を繰り返してきた。

10からおよそ5年ぶりに発売された「ファイナルファンタジー12」は、プレイヤーの数年前の「声」を反映している。だが、プレイヤーは自ら発したその声を、すでに忘れている。また、最初の数時間は、快調とは言い難いプレイ感だが、そこを忍耐できれば、重厚なファンタジーと、ストイックな育成の楽しみが待っている。

ストーリーには恋愛要素やギャグは殆ど無く、最初から最後まで、ある一つの王国の再建の話だ。(ユウワンは、『FF2』の雰囲気に一番近いと思った。) また、これまでのシリーズのように、スーパー・ヒーローが人間の限界を超えた力で戦うものではなく、主人公達は等身大であった。

ゲームは、これまでのエンカウント方式ではなく、シンボルエンカウントである。一見、アクション性があるように見えるが、相手が攻撃のモーションに入ったら、必ず攻撃された側はそれに対して対処をするようになっている。(もちろん、出来る限り距離を置いて時間を稼ぐのも一つの手ではある。)
ゲーム開始直後は、ひたすら退屈だ。広い街を迷子になりながらさまよい、バトルではほとんど経験値をもらえない相手と、しばらく単調なバトルを要求される。だが、初めて仲間が一人増えた時、その戦力をとても頼もしく感じるだろう。その仲間と別れ、再び一人で下水道を抜けたあと、ストーリーは急激に進展する─

さて、そのストーリーだが、仲間キャラの一人、バルフレアが劇中で何度か言っているように、この物語の主人公は紛れも無くバルフレアである。一応の主人公である青年ヴァンと幼馴染のパンネロは、戦争の犠牲者という形でしか、この物語に関わっておらず、仲間との行脚の中で、最後になるまでそれほど重要な役目は与えられていない。

ヴァンとパンネロは確かにこの物語の主人公ではない。が、確かにこのゲームになくてはならない存在である。どういう事かというと、ヴァン(またはパンネロ)はゲームをしているプレイヤーそのものなのだ。親しい人を戦争でなくしたという設定と、曖昧な目標(ヴァンは空賊になる、パンネロはヴァンについていく)だけがまず二人に与えられ、プレイヤーはそれだけの状態からゲームを開始することになる。
もちろん二人にも劇中でセリフが与えられているが、それはプレイヤーの思っている事に近い事に留められている。(特に、「フランって何歳?」のあたりにとてもそれを強く感じた)
昔のRPGは、主人公=プレイヤーであり、プレイヤーは操作している人物になりきり、地下迷宮に潜って宝を探したり、未知の世界を歩いていた。それがいつしか主人公に個性が付き、プレイヤーには想定できない行動を勝手に取ったり、プレイヤーの好みではない異性と仲良くなっていったり、いわゆる演劇を見るものに変わっていった。

ファイナルファンタジー12は、それまでの全員演劇状態から一歩引き、プレイヤーがヴァンまたはパンネロになれる事を目指したのだと思う。(つたない演技力も、それっぽい?)
それがわかれば、本当に最後の最後、バルフレアがヴァンにとある大役をまかせ、ヴァンが見事にそれをやり遂げるシーンが、また格別のものとなるだろう。

…って感じでユウワンが唯一参考にするワイアードのレビュー風に書いてみたけど、本物のワイアードがこのゲームズタボロに酷評したら、ちょっと面白いかもしれない。多分FF12のレビューは書くだろうと思うので、楽しみにしておく。つか職場の人のほとんどが買ったor欲しがっている事に驚いた。
過去ログ化したため、コメント・トラックバックはできません。
■コメント